Lifinity トークノミクス パート 4: 収益

Softgate Limited
11 min readMar 11, 2022

これは LIFINITY ProtocolLifinity Tokenomics Series Part 4: Revenue という記事を日本語訳したものです。

パート 3 で、Lifinity が排出の割り当てを決定する方法と、veLFNTY ホルダーのパッシブな収入源を賄賂から新たに作り出す仕組みを説明しました。本記事では、DEX の取引から得られる二つの収入源を紹介し、それらがどのように veLFNTY ホルダーへの報酬として、あるいはプロトコル所有流動性 (POL) の継続的な拡大のために使用されるかを解説します。

要約

  • プールが最適な水準の流動性にどれほど近いかに応じて、LP の取引手数料の取り分は動的に調整されます
  • 取引手数料に加えて、Lifinity は安く買って高く売るマーケットメイキングによっても利益を獲得します
  • プロトコルの収益の半分は veLFNTY ホルダーに分配され、残りはバイバックに使用されます

目次

取引手数料

Lifinity は他の DEX と異なり、プラットフォームに預けられる流動性の量を常に最大化しようとは考えていません。LP が一定の手数料を得るという標準的な状況を仮定すれば、ある時点からは、流動性を追加することで、単位流動性あたりの取引手数料が減少するようになります。これは、Solana のエコシステム内のすべての流動性がシェアしている取引活動全体が一定量しか存在しないからです。プールがまだ小さいうちは、流動性を追加することで取引量のシェアを獲得することができます。しかし、プールが十分に大きくなると、新たな流動性は取引量を僅かに増加させるだけで、LP トークンごとに得られる取引手数料の希薄化によってその効果が薄れてしまいます。

通常は、流動性を提供しているのは LP だけなので、上記のダイナミクスは、APY が低くなって追加のデポジットを行うインセンティブがなくなることでプールが均衡に達するという調整が自ずと発生します。しかし、私たちのプールには POL も含まれており、veLFNTY ホルダーの収益性を低下させるような過剰な流動性はむしろ抑制したいと考えています。そのため、プロトコルの収益性を最適化する目的で、デポジットのインセンティブを動的に設定することにしました。これは二つの方法で行われます。

まず一つ目として、単位流動性あたりの取引手数料が最大になると思われる目標流動性 (target liquidity) を設定します。各プールの目標流動性は、取引量/平均取引サイズ/他のプロトコルのプールサイズといった市場のデータを見て、チームが決定します。現在の流動性が目標流動性よりも低ければ低いほど、LP が受け取る取引手数料の割合は大きくなります。

そして、二つ目に、POL が少ないときには LP がデポジットするインセンティブをより大きくします。これにより、プールの初期段階においては流動性の確保が容易になり、その後さらに多くの POL を獲得するにつれて、LP に支払われる取引手数料の割合が低くなるので、POL が獲得する手数料を必要以上に希薄化することを防ぎます。

上記二つの要素に基づいて、LP が受け取る取引手数料の割合 (0–100%) を以下の式で計算します:

LP の手数料割り当て = max(0, 1 — ((P+L)/T)^i),

ここで、各記号は次のような意味を持ちます:

  • P = POL
  • L = LP によるデポジット
  • T = 目標流動性
  • i = インセンティブ係数

取引手数料のうち LP に払われない分はプロトコルフィーになります。

たとえば、目標流動性が 1,000,000 ドル、POL が 200,000 ドル、LP のデポジットが 300,000 ドル、インセンティブ係数を 2 であるとすれば、LP は max(0, 100–100*((200,000+300,000)/1,000,000)²) = 75% の取引手数料を受け取ります。

このモデルの目的は、目標流動性に遠く満たないときには LP の手数料の取り分をゆっくりとしか減らさずにデポジットを促進しますが、目標流動性に近づいてきたら素早く減らし、プールがあまり流動性を必要としていないことを知らせる点にあります。LP の取り分が減少するスピードはインセンティブ係数によって決まり、この数値が大きくなれば LP のデポジットがより厚いインセンティブを受けますし、その逆もしかりです。

私たちは最初インセンティブ係数を 2 から始めて、流動性の構成が、LP のデポジット中心から POL 中心へとスムーズに移行するよう注意深く監視し、もし LP へのインセンティブがうまく作用しない場合は適宜調整を行います。

なぜ LP の手数料取り分を最小で 0% まで下げるのか疑問に思っている方もいるかもしれません。これは、プロトコルの収益性を最適化するためであり、賄賂を支払う余地を残すためでもあります。LP のデポジットだけで目標流動性に到達している場合、LP の手数料取り分を減らさなければ、(既に十分な流動性があるために)他のプロトコルが賄賂を払う理由がなくなりますし、収益の取り分が大幅に希釈されることで POL の収益性も低下します。こうしたことから、LP に依存している間は手厚い報酬を払いますが、自給自足が可能になると徐々に LP への報酬を減らしていきます。

(備考:私たちの NFT である Lifinity Flares が提供する流動性は例外です。Flares の流動性の手数料割合は、導入記事で説明しているとおりに、ずっと 85% に固定されます。)

私たちは何が何でも LP を集めたいわけではなく、私たちのプラットフォームで LP になることは一種の特権であると考えています。そのため、LP の利益のために veLFNTY ホルダーを犠牲にすることがないよう、一定の制限を設けています。LP になることで私たちのプールが生み出すイールドに一時的かつ部分的なアクセスが可能になりますが、veLFNTY ホルダーは私たちの POL を通じて永続的かつ完全なアクセスを手にします。私たちがこのような方針を採用できるのは、マーケットメイキングで得られる利益があるからです。

マーケットメイキング利益

Lifinity は他の AMM と比較して、より多くの利回りを得ることができます(インフレしていくトークン報酬による持続不可能な利回りではなく、取引活動からの有機的な利回り)。実際、LP は取引手数料を 0% しかもらえなかったとしても、利回りを得られるのです!なぜなら、Lifinity では、取引手数料だけでなく、安く買って高く売るマーケットメイキングからの利益を得ているからです。Lifinity においてもその反対の変動損失 (IL) — 高く買って安く売る — は発生しますが、私たちが実施したテスト実際のパフォーマンスからは、IL が発生するのはむしろ例外的なケースであることが分かっています。

これまでは、これらの二つの側面を合わせて、変動利益 (impermanent gain) と呼び、価格が変動したときに利益が得られるケースもあることを伝えてきました。しかし、この呼び方はもう使わないことにして、今後はもっと正確な「マーケットメイキング利益 (MMP)」という用語を採用します。

Lifinity にとっての MMP は、コンスタントプロダクトや Uniswap v3 スタイルの AMM にとっての IL であり、どちらもマーケットメイキングからの利益と損失の合計を表します。違いは、IL が(その名前の示すとおり)決してプラスになることがないのに対して、MMP はプラスになりえます。

MMP は、プール資産を合計した価値(取引手数料を除きます)と、取引を一切せずにプール資産をただ保有していた場合の資産価値を比較することで計算されます。プール資産の価値が、単に保有していたケースよりも大きければ、MMP はプラスになり、マーケットメイキングによって利益を得たことを意味します。逆に、プール資産の価値がただ保有していたときよりも少なければ、MMP はマイナスとなり、プール資産を何もせずに保有していた方が良かったということになります。

Lifinity は LP から MMP を徴収することはありません。これは、LP に IL からの一種の保護機構が働くことを意味し、実際、平均的には、通常のコンスタントプロダクト AMM や Uniswap v3 方式 AMM のように損失を被るのではなく、マーケットメイクから利益が得られることが期待できます。これは、流動性全体が目標流動性よりも大きく、LP の取引手数料取り分が 0% であるときにも当てはまり、LP は MMP からのイールドを得ることができます。

一方、POL > 目標流動性である場合、Lifinity は POL の MMP がプラスであれば、それを POL の収益として扱います。言い換えれば、IL がない限り、利益が徴収されることになります。これによって、プール資産を取引せずに保有した場合と比較して、プールの規模を縮小せず、また、目標流動性以上に POL を無駄に増加させることもなく、より多くの収益を veLFNTY ホルダーに還元することができます。

収益の使い途

Lifinity の収益は、プロトコルフィーと、利益として引き出された MMP の合計になります。

収益は LP トークンの形になっていて、LP トークン中の二つのトークンを異なる目的で利用するため、それぞれバイバックトークンとリワードトークンと呼ぶことにしましょう。

一般に、ステーブルコインがバイバックトークンになります。最初の一年間は、すべてのバイバックトークンで LFNTY の買い戻しを行い、その LFNTY は veLFNTY として再び販売されることで、より多くの流動性を獲得するために利用されます。二年目以降は、バイバックトークンの 80% が LFNTY の買い戻しに使われ、20% は継続的な開発費に充当されます。これは、IDO で調達した資金の範囲内に限定されずに、Lifinity の開発を持続していくことを保証するためです。

リワードトークンは veLFNTY ホルダーに比例配分されます。たとえば、SOL-USDC, BTC-USDC, ETH-USDC のプールがあったとすると、veLFNTY 保有者は SOL, BTC, ETH を報酬として受け取ることになります。

バイバックトークンとリワードトークンは、ステーブルコインを含まないプールまたはステーブルペアのプールでは異なりますが、全体的な目標は、トークンの売り圧力を発生させないことで、賄賂プロトコルとの整合性を図る点にあります。さらに、上記の構造においては、何も取引を行う必要がないため、取引手数料によって報酬が減ることもありません(LFNTY の買い戻しのケースでは、手数料は私たちの LFNTY-USDC プールに蓄積されていくので問題ありません)。

すべての veLFNTY ホルダーは、Lifinity にプールが用意されているトークンおよび賄賂を支払うプロトコルのトークンへのエクスポージャーを得ることができるため、賄賂はプロトコルにとってホルダー数を拡大するための優れた方法となります。見方を変えれば、veLFNTY を保有することで、収益と賄賂の両方から、Solana のエコシステム内の様々なトークンへのエクスポージャーを受動的に得ることができます。

Lifinity の DEX の機能は、従来の AMM や Uniswap v3 方式のプロトコルとは大きく異なるため、LP へのインセンティブの与え方や収益の用途にも、ユーザが一般的な DEX に期待するものとは大きな違いがあります。その結果、Lifinity は LP に有利な機会を(それが持続している間は)提供しながらも、veLFNTY ホルダーの価値を最大化することができるのです。

次の記事では、これまでに説明してきた要素がどのように組み合わされて Lifinity の凝縮されたトークノミクスが完成するのかを、他のプロトコルと比較しながら説明します。

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