Mercurial Explained: マルチトークン ステーブルプール

本記事は、Mercurial Explained: Multi Token Stable Pools という記事を、著者の @tiddernips 氏の許諾を受けて、日本語訳したものです。翻訳を快く許諾してくださった @tiddernips 氏に感謝いたします。

なお、翻訳にあたっては、vault という単語を保管庫や金庫と訳すのはあまりなじみがないと思われたため、意訳して、すべて「プール」という日本語で統一しています。

この記事は Mercurial のコミュニティメンバーである @tiddernips 氏が執筆した、マルチトークン ステーブルプールの解説です。彼は、非常に深い知識を備え、Solana と DeFi に情熱を持っているだけでなく、ローンチ前から活発に活動しているメンバーの一人です。彼(およびそのほかのメンバー)とチャットしたい方は、是非私たちの Discord に参加してください!

MER トークンのローンチが成功し、数回の devnet でのリリースを経て、3 プールのベータ版がついに登場しました! この記事では、Mercurial のステーブルプールに関してよく聞かれる以下のような疑問について解説をしたいと思います:

  • マルチトークン ステーブルプールの利点とリスクは?
  • LP トークンとは何ですか?
  • プールのバランスが崩れると何が起きますか?
  • これらのプールはどのように利用できますか?
  • Mercurial の次の予定は?

この記事では、現在の 3 プールを例にして、Mercurial のマルチトークンプールに関する疑問や混乱を解消できるように説明をしたいと思います。

マルチトークン ステーブルプールとは?

マルチトークン ステーブルプールは、プロトコルに流動性を供給する際に、3 つまたはそれ以上のトークンを預け入れることができる流動性プールです。マルチトークンプールには、流動性の供給者から見てユーザーフレンドリーないくつかのユニークな特性があります。

デポジットを検討していますか? Mercurial の 3 プールでは、ユーザがデポジットするステーブルコインに三つの選択肢 — USDT, USDC, PAI — があります(PAI は Parrot Finance のステーブルコインです)。3 プールもマルチトークンプールなので、ユーザは 1 つ, 2 つ, あるいは 3 つすべての資産をデポジットすることができ、流動性を供給したいユーザにとって利用しやすいものになっています。たった一つのトークンからでも流動性を供給できる点が、他の競合サービスと比較したときの、Mercurial の差別化要因の一つになっています。

Raydium のような従来のデュアルトークンプールでは、ユーザは(たとえば RAY-SOL のように)二つの資産をペアにしてプールにデポジットする必要があります。ボラティリティが非常に高い資産の場合は、変動損失が発生するリスクも少なくありません。

しかし、ステーブルコインは 1 ドルにペッグされた低ボラティリティの資産なので、3 プールでは変動損失のリスクはほぼありません。変動損失が起きるのは、デポジットした資産の現在価格が、デポジット時の価格から乖離し始めたときに発生します。

マルチトークン ステーブルプールの利点とリスクは?

Mercurial の説明を引用すれば、「3 プールの利点は、流動性を三つの別々のプールに分割するのではなく、一つのプールですべての流動性を共有することができる」ところです。これは、3 プールのようなマルチトークンプールが、ステーブルコインの調達の際には、ここに来ればすべてが揃うような便利な場所になることを意味します。もし、マルチトークンプールがなければ、流動性は三つまたはそれ以上の別々のプールに分割されてしまうでしょう。3 プールの例であれば、USDC/USDT, USDC/PAI, USDT/PAI という三つのプールに分断されることを意味します。

このように流動性が一つのプールに集中することで、Solana 上に構築されている他の DeFi プロジェクトの能力をさらに高めることが可能になります。Mercurial は、ステーブルコインを調達したり、独自のステーブルコインの流動性を高めようとしているプロトコルにとって、主要な流動性の供給源となることを目指しています。

他のどんなことでもそうですが、マルチトークンプールにも若干のリスクはあります。その一つは、プール内のステーブルコインの一つが危険にさらされた場合、プール全体が危険にさらされてしまう可能性があります。そのため、評判の良い確かなバックグラウンドを持ち、既に信頼を確立している資産を扱うことが重要になります。

LP トークンとは何ですか?

ユーザがステーブルコインをプールに預けると、プロトコルに流動性を供給する見返りとして、ユーザは自分のウォレットに LP トークンを受け取ります。この LP トークンは、ユーザが資産を預けたプール(今の例では 3 プール)における、そのユーザのシェアを表しています。

LP トークンは、プールに預けた資産を引き出す際に利用されます。

ユーザは、単一トークンを引き出すことも、あるいはプール内のすべてのステーブルコインにデポジット総額を均等に分配するバランス型の引き出し方法を選択することもできます。

単一トークンの引き出しをする際の注意点は、若干の取引手数料が発生することです。ユーザが単一トークンで引き出しをする場合、Mercurial は残りの二つのステーブルコインを、ユーザが選択した一つのステーブルコインに自動的に交換します。この交換の過程では、普段プラットフォーム上でスワップをするときと同様に、わずかな取引手数料が徴収されることになります。一方、ユーザがバランス型の引き出しを選択した場合は、この取引手数料は発生しません。

プールのバランスが崩れると何が起きますか?

マルチトークンプールは、プール内のすべてのステーブルコインの割合が等しくない場合は、バランスが崩れた状態であるといえます。理想的には、すべてのステーブルコインが 3 プールの中で均等な割合を占めるべきですが、現実にはそうとも限りません。執筆時点では USDC が約 47%、USDT が約 40%、PAI が約 13% を占めており、かなりバランスが悪くなっています。

では、3 プールのバランスが悪いと、ユーザにどのような影響があるのでしょうか?

デポジット
例えば、ユーザがバランスの悪い 3 プールにステーブルコインを預けようとしている場合、USDC(プールの 47%)、USDT(プールの 40%)、PAI(プールの 13%)のいずれを預けるかで、どのような違いがあるのでしょう? USDC や USDT を 3 プールに預けようとしている流動性供給者は、プールの不均衡を助長することになるため、LP トークンの受け取り量が少なくなるというペナルティを受けます。USDC や USDT ではなく PAI を預けようとしているユーザは、プールのバランスを改善することに貢献するので、より多くの LP トークンを受け取ることができます。これはなぜでしょうか? プールは、すでに供給量が多い資産のスリッページが高くなるように設計されています。バランスの取れたプールを維持し、ユーザが供給量の少ない資産を預けることを促すためです。

スワップ
プールのバランスが悪いとスワップにも影響があります。例えば、3 プールが 60% の USDC、30% の USDT、10% の PAI で構成されていると仮定しましょう。これは、プール内で供給量が多いのは USDC で、供給量が少ないのは PAI であることを意味します。供給量の少ないトークンを供給量の多いトークンに交換(PAI→USDC)するユーザは、交換の際により多くのトークンを受け取ることができるというインセンティブが働きます。これは、ユーザが供給量の多いトークンをプールから取り除き、代わりに供給量の少ないトークンをプールに追加することで、プールのバランスがより均等になるためです。逆に、供給量の多いトークンから供給量の少ないトークンに交換(USDC→PAI)するユーザは、交換の際に受け取るトークンの量が少なくなるというペナルティを受けます。この報酬とペナルティの仕組みは、ユーザがプールのバランスを取ることを促すためのものです。

PAI の供給量が USDC や USDT に比べて明らかに少ないのはなぜだろう、と不思議に思っていますか? Parrot Finance は、Mercurial と同様に、まだ新しいプロトコルであり、予定している全機能を提供するべく開発を進めている最中だからです。今後より多くの PAI が発行され、流動性が高まってくれば、時間の経過とともにプールのバランスもより均等になっていくはずです。

これらのプールはどのように利用できますか?

3 プールやその他のプールは Solana の DeFi エコシステムにおいて、重要な役割を果たすことになるでしょう。ステーブルコイン資産は多くの DeFi プロトコルにとってきわめて重要な要素となっており、以下の Circle 社の調査レポートから、その重要性の一部を垣間見ることができます:

普通預金/金利市場/債券などの伝統的な固定金利投資よりも高い利回りを求める投資家は、資金をデジタル化して DeFi 市場で平均以上の利回りを得ることができます。そのための最も簡単で安全な方法は、間違いなく、米ドルをトークン化して USDC にし、それを DeFi プロトコルへデポジットすることです。

暗号通貨調査会社の Messari の 2021 年第 1 四半期のレポートによれば、『ステーブルコインの流通量は第 1 四半期に 650 億ドル以上に達し、加速的なペースで上昇を続けています。また、ステーブルコインが関わった取引量は 1 兆ドルにも達し、直近の 4 四半期の合計をも上回りました。そのなかでは USDC が一番の勝者であり17% もシェアを拡大しました。』

ステーブルコイン資産を利用するプロトコルは、プロトコルの成功を促進するためにより豊富な流動性を必要とし、Mercurial のマルチトークンプールに参加することになります。3 プールと今後追加される Mercurial プールは、多くの DeFi プロジェクトで重要な役割を果たすことになるはずです。Mercurial マルチトークンプールに「プラグイン」的に統合することで、プロトコルは将来の成功のために必要となる豊富な流動性を確保することができます。

Mercurial の次の予定は?

時間の経過とともに、Solana の DeFi エコシステムが成長し、新しいステーブルコイン資産が導入されたら、Mercurial はさらに 3, 4, 5 またはそれ以上のトークンプール(4 プールや 5 プールなど)を簡単に追加することができます。これらのマルチトークンプールの流動性を集中させる能力と、Solana のコンポーザビリティを組み合わせることで、Mercurial のプールはあらゆるステーブルコインの流動性をさらに深めるために必要不可欠な役割を果たすことができます。

この膨大なステーブルコインの流動性は、Solana DeFi エコシステムの基盤となります。Mercurial チームは立ち上げ以来、質の高い製品を作り出すために不断の努力を続け、その過程で強力なコミュニティを構築してきました。また、最高のユーザ体験を提供するために、コミュニティからの幅広いフィードバックに耳を傾けてきました。これは Mercurial にとって、始まりに過ぎず、これらも多くのことを成し遂げ、未来には無限の可能性が広がっています。

-Tiddernips

引用元:
https://www.circle.com/en/digital-dollar-stablecoin-solutions-for-defi
https://messari.io/article/q1-2021-defi-review-defi-booms-as-bull-market-heats-up

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