Serum Stories #2 — DeFi Land — 日本語訳

Softgate Limited
18 min readJul 22, 2021

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この記事は Serum Stories #2 — DeFi Land — The Passion and Thinking Behind a New Game の日本語訳です。

「私たちは、単なるブロックチェーンゲームを作りたかったわけではありません。既存の DeFi プロトコルやプラットフォームをすべて加速させ、一般のユーザに利用できるようにして、全体的なユーザー体験を向上させたかったのです。」

Serum Stories #2 へようこそ

Serum のオンチェーンインフラは、豊富な金融アプリケーションのみならず、ゲームのような成長産業も支えています。ゲーム内の NFT マーケットプレイスのような DeFi の要素を導入することで、バーチャルな娯楽とエンターテイメントの全く新しい世界が実現できます。

今週、私たちは、ゲーム化された分散型金融を次のレベルまで引き上げることを目的とした、新しい農業シミュレーションウェブゲームである DeFi Land の開発チームにお話を伺う素晴らしい機会を得ました。

今回は、DeFi Land チームの業界に対する考察やベストプラクティス、そして彼らの個人的なバックグラウンドを紹介したいと思います。楽しさとゲーム性を前面に押し出した取り組みに、多くの思いが込められていることに、とても感心させられます。

目次

  1. — DeFi Land とは何ですか
  2. — 文字通りに DeFi である
  3. — インスピレーションの源泉
  4. — 幅広いコミュニティの教育とサポート
  5. — ディテールが重要
  6. — なぜ Play-to-Earn モデルか
  7. — Play-to-Earn の未来
  8. — モバイルバージョン
  9. — どこに価値があるのか

インタビュー

1. まだ知らない人のために、DeFi Land を 30 秒で駆け足で説明してください。新しい投資家やプレイヤーに対して、普段どのように紹介していますか?

DeFi Land は農業シミュレーションを行うウェブゲームで、分散型金融の体験をゲーム化することを目的としています。さまざまなプロトコルを一つの場所に集約し、その上に別のレイヤーを追加しています。その別のレイヤーというのが私たちのゲームであり、プレイヤーに対してゲーム化された DeFi の体験を提供します。

たとえば、プレイヤーがゲーム内で異なる資産を交換する際には、実際に Serum 上で異なるトークンを交換することになりますが、それはシームレスに行われます。その点で、DeFi Land はゲーム化された “Zapper” とみなすこともできますが、ただ単にゲーム化した Zapper になるのではなく、アニメーションやクールな機能、そして他のゲームが持つべきあらゆるゲーム要素を備え、ユーザが本当に楽しみながらプレイできる本物のゲームにしたいと考えています。以上が、私たちの簡単な紹介で、新しい投資家にいつもお伝えしている内容です。

2. Serum にはいくつかのゲームが接続されており、人々はゲーム化された DeFi にとても興奮しています。そのようなゲームには、Aurory, OpenEra, Star Atlas や Axie Infinity などがあります。これらのタイトルは、作り込まれたゲーム内の伝承や探検できる素敵な世界、そして魅力的な物語をバックグラウンドに備えた素晴らしいものです。

しかし、なかでも DeFi Land は特別で、この「メタ路線」を貫いています。DeFi Land は、DeFi の要素を表現しているだけでなく、これらの要素が文字通りの DeFi としてきちんと機能しているのです。このレベルまで DeFi をゲーム化した背景には、どのような考えがあったのですか?また、どのような人たちに利用してもらいたいと思っていますか?

おっしゃるとおり、DeFi をゲーム化しようとしているゲームは、Star Atlas, OpenEra, Aurory を含め、たくさんありますし、Solana 以外にも Axie Infinity をはじめとした数多くのゲームが存在します。ゲームには基本的に二つのタイプがあると思います。一つは、ブロックチェーンに載せること自体に意味がないもので、私たちは間違ってもその部類には入りたくありません。二つ目のタイプは、さきほど言及されたゲームたちで、彼らは自分のゲームのために独自の新しいエコシステムを構築しています。

ブロックチェーン上にありきたりのゲームを一つ載せるだけでは、ブロックチェーンや DeFi の普及にさほど貢献しないでしょう。私たちも、単なるブロックチェーンゲームを作りたかったわけではありません。既存の DeFi プロトコルやプラットフォームをすべて加速させ、一般のユーザに利用できるようにして、全体的なユーザ体験を向上させたかったのです。そのために、さまざまなプロトコルを集め、ユーザ体験は私たちのプラットフォームに委ねます。私たちは、ユーザ体験の面で改善すべき余地が多いにあると考え、このゲーム化のアイディアを思いついたのです。

私たちの大きな目標は、V1 と V2 という二つのバージョンにまたがって設定されています。V1 では、DeFi の基本的な機能をすべて網羅し、DeFi を一度でも体験したことのあるプレイヤーに、新しいユーザ体験を提供して、様々な機能を学び、そして試してもらいたいと考えています。DeFi を利用するのはとても簡単で、見た目ほど複雑ではないということを実感してほしいのです。言い換えると、私たちの最大の目標は、Solana と DeFi をメインストリームに押し上げることです。

3. お話を伺うと、あなた方のチームはとても深くまで考えているようですね!DeFi Land が他のプロジェクトからインスピレーションを得て、幅広いユーザ層にアピールしようとしている点も素晴らしいと思います。

それを踏まえた上で、あなた方が計画している多様なゲームモードに影響を与えたのは具体的にどのゲームですか?

私たちの創業者とチームはみな、子供の頃から大のゲーム好きでした。モバイルやウェブのゲーム、そしてもっと複雑な PC のビデオゲームまで、さまざまなビデオゲームで何時間も遊んできました。ゲームは私たちの生活においてとても重要な部分を占めており、私たちはそれぞれのゲームから影響を受けてきました。また、私たちはゲームの開発経験もあります。

DeFi Land の背景となるインスピレーションは、もちろん、Farmville や Animal Crossing(どうぶつの森)などの農業ゲームでした。基本的に私たちは、DeFi は農業のようなものと考えています。つまり、農業ゲームのように、農作物を収穫したり、資源を確保したりするということです。それが私たちのインスピレーションになりました。そして、ブロックチェーン上で優れたゲームが登場していることを知り、農業スタイルのシミュレーションフレームワークを使ってゲーム化された Zapper を作るのはとても意味があることではないかと考えました。以上が、私たちが歩んできた道の全体的な背景です。

4. あなた方が DeFi Land で構築していく中で、潜在的なユーザや現在 DeFi を利用しているユーザを幅広く啓蒙することにとても力を入れているようですね。それは素晴らしいことだと思います。

DeFi Land の教育的なデザインについて、もう少し詳しく教えてください。また、このプロジェクトでは、もっと広い DeFi コミュニティとつながったり支援したりするための方法も提供するのでしょうか?

はい、先ほどお話ししたように、V1 では既に DeFi を利用しているユーザにアプローチして、彼らの意見やフィードバックを聞きたいと考えています。何が好きで、何が嫌いなのか、そしてどうすれば私たちのゲームに興味を持ってもらえるのか、それを知りたいのです。そして、市場のハマりポイントを見つけたら、そこから絞り込んで一般ユーザにアプローチしていくつもりです。

私たちの考えは、なにはともあれ一般ユーザに DeFi を使っていただき、DeFi の良さを知ってもらうことです。そのために、ゲーム内に教育モードを設けています。これは、DeFi について何も知らない初めてのユーザのための練習モードのようなものです。もしくは、DeFi についてある程度知っていて、もっと詳しく学びたいという人がいたとしましょう。DeFi Land では、シミュレーション環境でさまざまな戦略を試してみることができます。私たちのゲームをガイド付きでプレイすれば、ウォレットの仕組みや変動損失、そしてそのほかの重要なトピックなど、DeFi の機能や概念を学べるようになっています。

私たちは、音楽から NFT、そしてゲーム内のクイズに至るまで、ゲーム内のディテールにはとてもこだわっています。たとえば、クイズに正解すると、ゲームプレイに影響を与えるゲーム内オブジェクトを表す特別な NFT が報酬として与えられます。また、DeFi の特定の側面に興味を持った人のための高度なチュートリアルなど、上級者向けのゲームモードも用意しています。

最終的には、新規ユーザが DeFi に興味を持ち、DeFi を学んで使えるようになるために、しっかりとしたユニークで魅力的な体験を提供したいと思っています。一般ユーザを「非クリプトユーザ」から DeFi のパワーユーザに変えていきたいのです。そのための方法はたくさんあります。また、ブロックチェーンを学びたいと思っていて、簡単に学べる方法を必要としている学生層をターゲットにすることも大切だと考えています。

5. 過去の対談では、現実世界のマーケット状況に応じて、ゲーム内で雨が降ったり晴れたりと天候が変わるなど、特別な機能やアート的な選択について言及していましたね。

ゲームのユニークさを際立たせるようなゲーム内のディテールについて、もう少し詳しく説明していただけますか?

私たちは、たくさんの異なるプロトコルを集約するだけの存在ではなく、ユーザにゲームを楽しんでプレイしてもらいたいと思っています。DeFi Land を際立たせるのは、プレイヤーの体験をユニークで、記憶に残り、全体として楽しいものにするような細部に至るこだわりです。人によっては「そんなディテールは大したことじゃない」と言うかもしれませんが、実際にはものすごく大きな違いを生みだします。

今おっしゃったような詳細(最終的にはオプション)はいくつか用意するつもりです。たとえば、プレイヤーのタイムゾーンに合わせて、昼と夜のサイクルがあります。私たちのもう一つのお気に入りは、ゲーム内の天候です。これは、現実のマーケット状況など、いくつかの要素に応じて決定されます。資産価格が下がっているときは、雨模様の天気になって悲しげな音楽に変わりますし、マーケットが盛り上がっているときは、すべてが緑になり、天気は晴れ晴れとして、陽気な音楽が流れます。

音楽も自分たちで制作します。作曲家やミュージシャンがいて、サウンドトラックを作っていますよ。DeFi Land には、幅広い BGM のコレクションとゲーム内のユニークなサウンドやアニメーションが用意されています。それに加えて、ゲーム内のラジオ局では、プレイヤーが様々なチャンネルを選んで、ローファイからジャズまで好きな音楽を聴くことができます。

さらに、ゲーム内のすべてのオブジェクトは、ゲーム内のアプリストアで入手できる取引可能な NFT になります。ユーザはマーケットプレイスを通じて、自分の土地をカスタマイズすることができます。つまり、ユーザは、取引可能で様々な価値をもった資産の所有権を持つことになります。たとえば、特定の建物を建てることで、農作物の収穫量が増えたり、DFL トークンなどのランダムな賞品が入ったミステリーボックスを受け取るチャンスが発生したりします。

まだまだ多くの機能が予定されているのですが、すべてをネタバレしたくはないので、今日は最後に一つだけ、ゲーム内のペットについてご紹介します。プレイヤーはペットを所有し、ペットと交流することができます。たとえば、頭をなでると経験値がもらえたりします。全体として、ゲーム内のいろんな要素に触れれば触れるほど、より多くの報酬が得られるし、発見をすることができます。

6. 現実のマーケットに応じて天候が変化するというアイディアはとてもいいですね。ユーザが DeFi に没頭できるような非常にクールなアイディアだと思います。

また、Play-to-earn モデルを採用しているとおっしゃいましたが、そのような選択をした理由は何でしょうか?

当初から、私たちのゲームには Play-to-earn モデルが不可欠だと考えていました。開発を始めた頃、私たちは Axie Infinity が大流行するのを目の当たりにしました。彼らの成功を見て、ゲームが生き残るだけでなく、優れたプレイヤー体験を提供するには、プレイヤーがよりアクティブに、より積極的に関与し、より多くの時間を費やすようになる Play-to-earn モデルが必要であると認識したのです。

DeFi Land では、プレイヤーに多くのタスクとそれによって得られる実績を用意します。プレイヤーがこれらのタスクをこなせば、DFL トークンや NFT、ミステリーボックスなどの商品を受け取ることができます。ゲームにはレベルと経験値がありますから、レベルアップしてリーダーボード入りを目指してもよいでしょう。他の人たちに見せびらかすという要素も重要です。プレイヤーは友達の土地を訪ねて、メッセージを残すことができるようになります。これらはすべて V1 の段階で予定しているものです。

他にも、トレード大会やファーミング競争、ミニゲームなど、ユーザがお互いに競い合う様々なアクティビティを用意しています。プレイヤーには毎日賞品を受け取るチャンスがあります。また、「クラッシュ・オブ・クラン」のようにプレイヤーが他のプレイヤーの土地を攻撃して作物や資産を奪うことができるバトルモードも予定しています。「バトルアカウント」を作成することを選択した場合、資産をそのアカウントに転送し、ギルドやバトルに参加することになります。

まとめると、従来のゲームにあるようないろいろな機能を持ち、それらを Play-to-earn モデルと組み合わせて、誰でも DeFi の体験を楽しめるようにしたいのです。私たちは、これから時の経過とともにますます大きくなっていくと思われる Axie Infinity やその他のゲームから影響を受けています。

7. Axie Infinity といえば、彼らの成功に関する全般的な考えと、あなたのチームが彼らからどのようなことを学んでいるかを教えていただけますか?

チームメンバーは全員 — デザイナーや開発者も例外ではありません — Axie を含む多くのブロックチェーンゲームをプレイして、何がよくできていて、どんな改善の余地があるのかを探っています。私たちは、常に他のプロジェクトの成功と失敗から学ぶように努力しています。

過去に見てきた一般的なケースでは、スケーリングの問題、アニメーションの改良、デバイスによって異なる解像度を適切にサポートする UI など、改善したい点はいろいろありました。ただ、確実に言えるのは、Axie Infinity のようなゲームがとてもうまくいっているのは、ゲーム内の経済が非常に良く作られているからだと思います。

もう一つ付け加えるならば、ブロックチェーンゲームは、2000 年代初めのトレンドに類似性が見られます。それはたとえば、Facebook が広く普及しつつあり、Farmville のような多くのゲームプラットフォームがローンチされた頃です。DeFi Land は、次なる Farmville になるポテンシャルを秘めていると言えますが、ただし今回は、ブロックチェーンプラットフォーム上でローンチされます。初期のウェブゲームが成功したように、多くの新しいブロックチェーンゲームも成功する可能性があるでしょう。私たちは、数年後に巨大なものになるであろう新しいトレンドを目の当たりにしているのです。もしかしたら、それは、ウェブゲームが収めた成功よりも大きいものになるかもしれません。

8. それらのブロックチェーンゲームの Play-to-earn モデルの将来性はどのようにお考えでしょうか?たとえば Axie Infinity のようなゲームは、特定の地域においては、ゲームをプレイすることで通常の仕事よりも多くの収入を得ている人がたくさんいます。

この傾向は今後どうなっていくと思いますか?たとえば、こうした経済活動で本当に生計を立てていけるのでしょうか?

私たちは Play-to-earn が様々な人たちにとってフルタイムの仕事のようなものになると考えています。現在、多くの国では、そうしたゲームの平均的な収益水準よりもはるかに低い最低賃金しか得られません。

私たちのゲームでもそれが実現できると確信しています。V2 に移行して、先ほど述べたバトルモードや大会、ギルドトーナメントなどの機能がすべて実装されたら、Axie Infinity と同じくらいの(超えるほどではないとしても)人気を獲得できることを願っています。

私たちはかなりユニークなコンセプトを持っており、多くのゲーム機能を備えているため、結果として「競合」よりもオープンな体験を提供できます。DeFi Land は、たとえばサンドボックスゲームのように広すぎず、簡単に始めてみることができます。私たちは自らの Play-to-earn モデルを信じており、DeFi Land によって、多くの人たちが楽しみながら DeFi の可能性を知るだけでなく、お金を稼ぐこともできるようになると思います。

9. 現在は DeFi Land のウェブ版を開発していますね。モバイル版の計画もありますか?また、いずれはモバイルが主流になると思いますか?

私たちはこれまでにウェブゲームだけでなくモバイルゲームも開発してきましたので、モバイル版ももちろんロードマップに入っています。とても力を入れて作業しているので、2022 年にはモバイル版を提供したいと思います。

私たちは、モバイルゲームが PC ゲームに取って代わっていくと考えています。League of Legends や Counter Strike といった多人数参加型やその他のチームゲームはともかくとして、指で簡単にプレイできるようなゲームに関しては、その傾向があるでしょう。ですから、私たちも将来的にはモバイルに参入するつもりです。

10. これまでにゲームを制作してきた経験の中で、良かったこと、最も気に入っていることは何ですか?どこに「価値がある」と思いますか?

いろいろなことが、私たちの経験をとても素敵で楽しいものにしてくれました。ゲーム開発それ自体はもちろんのこと、ブロックチェーンに取り組むこともとても面白いです。私たちのチームはとても仲が良いので、会話もとても楽しいです。だからこそ、一日 15 時間も働くことができます。みんながその場にいたいと思っているんです。

また、Twitter や Discord, Telegram といったコミュニティから寄せられたフィードバックが、私たちのモチベーションをさらに高めてくれます。素晴らしいアイディアを提供してくれたり、ゲームに望むものを共有してゲームの成長を助けてくれているすべての方々に感謝したいと思います。

サポーターや投資家の皆さん、そして Serum チームのご支援にも感謝しています。誰もが勢いを感じています!ブロックチェーンと DeFi のためのユニークなアイディアとして、私たちに可能性を見いだしていただいていることに、とても興奮しています。時間が経つにつれて、自分たちのビジョンと行動にどんどん自信が持てるようになってきました。

もうひとつ強調しておきたいことは、私たちのチームでは毎日の終わりにホワイトボードで 15 分のブレインストーミングを行って、Twitter, Discord, Telegram で寄せられたすべてのコメントに目を通しています。ホワイトボードにすべて書き出して、私たちが好きなものやエキサイティングだと感じるものを、自分たちのアイディアとともに確認します。このようなブレインストーミングを毎日行うことはとてもユニークで、どんなチームでも経験できる本当に素晴らしいことの一つだと考えています。

インタビューはいかがでしたか?このインタビューを実現させてくれた DeFi Land にとても感謝しています。

インタビューは今後もまだまだ続きます!

私たちは Serum の上で開発を行っているあらゆる素晴らしいチームとこうした会話を続けて、皆さんに共有したいと思っています。次はどのプロジェクトの話が聞きたいか、是非教えてください

DeFi Land のチームや開発状況については、彼らの Twitter, Discord, Telegram, Medium そしてウェブサイトで確認できます。

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