Solana が 2021 年末までにトップ10に入ると思う理由 — 日本語訳
本記事は、Justin Lee 氏(@justinleejw)の Solana に関するツイッタースレッドを、ご本人の許諾を受けて、日本語訳したものです。翻訳を快く許諾してくださった Justin Lee 氏に感謝いたします。
なお、コストや性能に関するデータおよび技術的な考察は、翻訳時に混入した誤りを除き、修正/改良の予定はありません。
私は Solana がとても好きです。
Solana が 2021 年末までに仮想通貨の時価総額でトップ 10 に入ると思う理由をご紹介します。長期的な投資家と短期的な投機家としての両方の視点をお伝えしたいと思います。
これは投資のアドバイスではありません。
これから Solana のお話をしていきますが、仮想通貨界隈の他の多くのことと同様に、すべては Ethereum から始まりました。
数ヶ月前、私は Foundation や Opensea のようなマーケットプレイスで NFT を見るようになりました。
NFT の売買には、入札プロセスを別にして、5 つのトランザクションを実行する必要があります。
- 作成者への支払い
- 購入したマーケットプレイスから NFT を受け取る
- 売却しようとするマーケットプレイスにプロキシを登録
- 売却しようとするマーケットプレイスに承認を設定
- 新たな購入者から代金を受け取る
このそれぞれの段階で、それが 0 ETH のトランザクションであったとしても高額なガス代を払い、完了までに平均 9 分も待たなければいけません。
Ethereum のエコシステムをしばらく使っている人にとっては、これは特に驚くべきことではありません。実際、今すぐにでも Ethereum の mempool をご自分で確認することもできます。
https://etherscan.io/chart/pendingtx
言うまでもなく、アクションの実行を確認するまでに 9 分もかかるようなコンピュータ(Ethereum ネットワークはまさに巨大な分散型コンピュータなので)が主流になることはないでしょう。
では、現時点ではどのような選択肢があるのでしょうか?そして、それらの間には、分散性とセキュリティは維持した上で、性能やスケーラビリティーにどのような違いがあるのでしょう。
以下の二つの数値を使って比較してみます:
- スループット — ネットワークの処理能力(TPS: 毎秒のトランザクション数)
- トランザクションファイナリティタイム— ブロックチェーンに記録されたトランザクションが不可逆であることがほぼ確定するまでに要する時間
Tether と Uniswap を除いた時価総額トップ 10 の通貨のベンチマークは次の通りです:
- Bitcoin — 7 TPS, 60分
- Ethereum — 25 TPS, 6分
- Binance Smart Chain (BNB) — 300 TPS, 5秒
- Cardano — 250 TPS, 10分
- Polkadot — 1000+ TPS, 12秒
- XRP — 1500 TPS, 5秒
- Theta — 1000+ TPS, 6秒
- Litecoin — 56 TPS, 30分
他のいくつかの高速でポピュラーなチェーンのパフォーマンスはこのようになっています:
- Steem— 10000 TPS, 3秒
- Cosmos— 10000 TPS, 2秒
- Algorand — 1000+ TPS, 45秒
- Hashgraph— 10000+ TPS, 3秒
そして、Solana のパフォーマンスは:
50000+TPS, 400ミリ秒
性能面では Solana が群を抜いていますね。彼らはどうやってこれを実現しているのでしょうか?
まず、既存の Layer 1 および Layer 2 のブロックチェーンの多くが採用しているスケーリングソリューションは、スケーラビリティートリレンマという大きな問題を抱えています。これは、Ethereum の創始者である Vitalik Buterin 氏が造った言葉で、アーキテクチャを最適化する際に、三つの特性のバランスを取るためのトレードオフが必要であることを表します。
多くのポピュラーな Layer 1 では、主なスケーラビリティーの解決策としてシャーディングを採用しています。ネットワークがすべてのトランザクションを順次処理するのではなく、トランザクションを「シャード」と呼ばれる小さなデータセットに分割する手法がシャーディングです。
これらのシャードは、ネットワークによって並列に処理されます。
しかし、Solana の CEO である @aeyakovenko 氏によると、シャーディングに伴うリスクは、スケーラビリティーの利点を遙かに上回ります。
「一度ネットワークを分割すると、新たな攻撃経路を導入してしまうので、シャーディング技術はセキュリティを悪化させます」と彼は説明しました。
「もし一つのシャードがハッカーに乗っ取られたら、トークン価格に影響を及ぼすドミノ効果を引き起こし、ユーザやノードの大量流出につながります」
Solana では、8 つの重要な革新的技術を用いたまったく異なるアプローチを採用することで、スマートコントラクトやトランザクションを並列処理できる真に時間的に同期した分散ネットワークを構築しました。シャーディングは必要ありません。
もちろん、パフォーマンス/スピード/セキュリティだけでは世間一般に広まるには不十分です。本格的なプロジェクトでは (1) コンポーザビリティ (2) 既存のエコシステムとの相互運用性 (3) 開発者のエクスペリエンスと生産性なども解決する必要があります。
(1) コンポーザビリティ
既存のリソースを構成要素として高位のアプリケーションをプログラムすることができるプラットフォームはコンポーザブルであるといえます。多くの Layer 1 はコンポーザブルですが、反面、しばしばスケーラビリティーが犠牲になります。
また、プラットフォームが多くの異なるシャードに分離されていると、構成要素としては利用しづらくなります。
Solana では、そもそもスケーラビリティー上の懸念事項であるシャーディングを使用しないので、スケーラブルなコンポーザビリティの実現に問題はありません。
(2) 既存のエコシステムとの相互運用性
ここでいう「既存のエコシステム」とは Ethereum のことを指しており、現在でも圧倒的に多数の DeFi プロジェクトが構築されています。
DeFi Pulse が追跡している 83 の DeFi プロジェクトのうち、実に 82 のプロジェクト(98%)が Ethereum プラットフォームベースで作られています。
クロスチェーンブリッジを確立することで、Solana は Ethereum エコシステムの強さと規模の恩恵を受けることができます。
また、Solana は DeFi オラクルデータに関して @chainlink と提携し、DeFi アプリケーションへの高速なオラクルフィードを提供しています。
Solana の Dapp は、オラクルを自前で開発する際の大きな落とし穴である長い遅延時間/追加のコスト/致命的なセキュリティ上の欠陥などを回避しつつ、必要なインプット/アウトプットデータに安全にアクセスすることができます。
(3) 開発者のエクスペリエンスと生産性
Solana のアプリは Rust で開発されており、Github によれば Rust は最も早く成長をしている言語の一つです。
Ethereum の Solidity がスマートコントラクトプログラミングに特化しているのに対して、Rust はブロックチェーン以外にも広い分野で採用されています。
また、Polkadot や Huobi Chain など他の多くのプロジェクトも今後は Rust を使用していく方針のようです。
私は、JavaScript がウェブの言語になったように、Rust がブロックチェーンのプログラミング言語になっていくと考えています。ブロックチェーンの分野で統一された一つの言語を集中的に使うことで、開発者の摩擦を減らし、ブロックチェーン界隈の開発生産性を劇的に高めるでしょう。
Solana の高い性能は、開発者の生産性の向上にもつながります。
多くの既存のブロックチェーンでは、開発者は、限られたスループットという問題を解決するために不必要な技術的インフラを構築することを余儀なくされ、それが肥大化と技術的な負債を生み出しています。
私の経験では、技術的負債は時間の経過とともにプロジェクトに忍び寄ってきて、新しい機能を構築することよりも、肥大化したインフラを維持することに多くのリソースを費やす羽目になります。
チーム
どんなチームが Solana を支えているのでしょうか?そして、彼らは Solana の開発を続けていくために必要なものを備えているのでしょうか?
創設チームは様々なバックグラウンドを持っており、Qualcomm で高性能な分散システムの開発に携わっていたり(Yakovenko と Fitzgerald)、Omada Health でヘルステック向けの製品に関わっていました(Gokal と Williams)。
創設チームはこれまで何年も一緒に仕事をしているので、初期段階のプロジェクトが失敗する原因としてありがちな創設者の方向性の不一致のようなリスクは高くありません。
さらに、Solana は @FTX_Official の CEO である @SBF_Alameda に強く支持されています。彼がそのコミュニティに持つ影響力は、パートナーシップの形成と開発者の採用を加速するでしょう。
Solana のコアとなる利点を説明したところで、私の投機家としての観点からお話ししたいと思います。
私は Solana が時価総額でトップ 10 入りするための二つのトレンドがあると考えています:
- 高品質の Layer 2 プロジェクト
- 現在のトップ 10 の離脱
高品質の Layer 2 プロジェクト
(原文の)執筆時点で、State of the DApps には 2462 個の Ethereum プロジェクトがリストアップされています:
Solana のサイトには 243 個のプロジェクトしかありません:
Solana のエコシステムは Ethereum の 1/10 ほどしかありませんが、Ethereum は 6 年前から存在しているのに対し、Solana は 1 年未満であることを忘れてはいけません。
重要なのはプロジェクトの絶対数ではなく、それらのプロジェクトの質です。挙げきれないほど多くのプロジェクトがありますし、他の人がそうした情報をうまくまとめてくれています:
ここでは、トークン価格にもっとも影響を及ぼしていると思われる DeFi の分野の一つである分散型取引所 (DEX) に焦点を当てます。
つまり、Ethereum の Uniswap, Binance Smart Chain の PancakeSwap, Solana の Serum です。
DEX およびそのガバナンストークンは、似たようなサイクルをたどるように見えます。人々がガバナンストークンを購入してトークンの価格が上がれば、流動性供給者のインセンティブが上がり、ロックされた資産価値 (TVL) が上がり、さらに人々が多くのトークンを購入してまた価格が上がります。
このサイクルは Layer 1 トークンの価格にも影響し、2021年2月19日に PancakeSwap の TVL が Uniswap の TVL を上回った後、BNB が 50% 上昇したことからもそれがうかがえます。
それ以降、PancakeSwap の TVL は一貫して Uniswap の TVL を上回っており、BNB は USDT を抜いた後、3 位の座を一ヶ月以上維持しています。
それでは、Serum はどうでしょうか?
Serum の流動性供給者でもある自動マーケットメイカーの Raydium の TVL は 2 億 2000 万ドルで、PancakeSwap と Uniswap の約 4 % に過ぎません。
明らかに Solana の DEX と AMM には成長の余地があります。
しかし、それはすごい勢いで成長しつつあるのです。
Raydium は 2021 年 2 月 21 日に 500 万ドルの TVL でローンチし、それから一ヶ月強で 44 倍の 2 億 2000 万ドルに成長したのです。
現在のトップ 10 の離脱
Coinmarketcap のトップ 10 を見たときに、なぜそこにランクインしているのか不思議で仕方がないトークンが二つあります: ADA と XRP です。
いくつかの異なった理由から、私はこれら二つのコインが近い将来も現在の地位を占めているとは考えていません。
ADA
Cardano (ADA)は Goguen と呼ばれるスマートコントラクト機能を今年後半にリリースする予定です。そう言われると、Cardano はかなり新しいプロジェクトなのだろうと思うかもしれません。
実際には、Cardano は Ethereum が登場したのと同じ 2015 年にローンチされました。それ以来、他のエコシステムが躍進する一方で、Cardano は停滞したままでした。
Google で “Cardano projects” と検索をしても、ほとんど満足のいく情報を見つけることはできないでしょう。
XRP
XRP は分散化されていないというのがコミュニティの一般的なコンセンサスです。流通する予定の 1000 億 XRP のうち、Ripple 社が少なくとも 600 億 XRP を所有することになるはずで、既に 200–300 億 XRP を所有しています。
また、Ripple 社は、ユニークノードリスト (UNL) を管理していて、彼らの台帳に追加されるすべてのノードを 100% 管理下に置いているので、XRP のネットワークは 150 強のバリデータに限定されます。
これら 150 強のバリデータのうち、70 は Ripple 社が所有していて、他にもパートナーが所有しているものがいくつかあります。推奨されている 5 つのバリデータノードもすべて Ripple 社が所有/運営しています。
中央集権的であること自体が悪いとは限りませんが(結局のところ BNB もBinance が所有しています)、Ripple 社は 13 億ドルの証券募集を未登録で実施したとして SEC から訴えられてもいます。
リテールの投資家の心理を利用して無効な主張をしてきた経緯もあり、今後も訴訟は継続すると私は考えています。
弁護団の資金が必要になれば、XRP の供給を抑制することを止めるかもしれません。
この記事(原文)を書いている時点で、ADA の時価総額は 380 億ドル、XRP は 250 億ドルです。
それに対して、Solana は 5 億ドルに満たないくらいです。
先に述べたとおり、これは投資アドバイスではありません。
結論として、私は以下のような理由から Solana を HODL(長期保有)するつもりです:
- 高いスループットとトランザクションの速度
- 低いトランザクションフィー
- スケーラブルなコンポーザビリティ
- 他の Layer 1 との相互運用性
- 大変優れた開発環境
- 急成長しているエコシステム