Why we are bullish on Solana 日本語訳
本記事は、Sino Global Capital 社の Why we are bullish on Solana という記事を、Sino Global Capital 社の許諾を受けて、日本語訳したものです。翻訳を快く許諾してくださった Sino Global Capital 社に感謝いたします。
なお、コストや性能に関するデータおよび技術的な考察は、翻訳時に混入した誤りを除き、修正/改良の予定はありません。
本記事は投資助言を意図するものではありません。
イントロダクション
Solana はスマートコントラクトの仕組みを備えた超高速/低遅延/高性能なブロックチェーンです。Solana は、時刻管理のための革新的なアプローチである Proof of History を採用することで、分散性とセキュリティを損なわずに、一秒未満のグローバルな状態ファイナリティと 5 万 TPS を超えるトランザクションスループットを実現しています。
Solana はそのユニークな立ち位置で、既存のスマートコントラクトブロックチェーンの市場シェアを獲得すると同時に、新規プロジェクトやユーザを仮想通貨/ブロックチェーン分野に惹きつけています。
特筆すべきアドバンテージ:
- スケーラビリティー (5 万 TPS / 一秒未満のグローバルな状態ファイナリティ)
- ローコスト (平均的なトランザクション手数料は 0.0007 ドル)
- コンポーザビリティ (Layer 2 / シャーディングなしで高性能)
- トップレベルのエコシステムパートナー
- セキュアに分散化
スケーラブルなコンポーザビリティはシャーディングや Layer 2 では実現できない
Layer 2 やシャーディングを利用してブロックチェーンにスケーラビリティーをもたらすソリューションがいくつも存在します。しかし、Solana のネイティブな Layer 1 のスケーラビリティーは、異なるレイヤーやシャードでトランザクションを処理する方式では不可能なレベルのコンポーザビリティを提供します。Defi は、特にアトミックな複数ステップのトランザクションに関して、コンポーザビリティがいかに重要であるかを示しました。トランザクションの複雑さ/価値/規模が増大するにつれ、一秒未満のファイナリティとハイスループットが必要になります。これらの機能はシャーディングや Layer 2 ソリューションではサポートできません。Solana は、単一の Layer 1 で大量の処理を行うことができ、企業レベルの要求に応えうるトランザクションのファイナリティを備えています。
Layer 2 としての Solana
dApp が Layer 2 をスケーリングのソリューションとみなす中、Solana は性能以上のユニークな価値を提供します。Layer 1 のブロックチェーンを Layer 2 として構築することで、アプリケーションは、ネイティブな Layer 1 の機能(法定通貨との交換経路/ネイティブなステーブルコイン/Layer 1 のエコシステム全体とのコンポーザビリティなど)の恩恵にあずかることができます。法定通貨からの交換手段を持たない EVM Layer 2 においては、新規ユーザはまず Ethereum 経由で(~50ドルの手数料を払って)資金を送金しなければいけませんが、Solana では 1 セント未満で済みます。Solana は、小さなエコシステムしか持たないどの Layer 2 よりも、組み合わせが可能な機能を豊富に備えることになります。
独立したクロスチェーンブリッジの存在により、Solana は Ethereum と相互運用が可能であり(Wormhole)、他のチェーンとの統合も進行中です。さらに、Ethereum 互換の実行環境も Solana に実装が予定されており、それによって EVM ベースの Layer 2 と同程度の互換性が実現されます。
よりよい開発者のエクスペリエンス
Solana の高性能な Layer 1 ブロックチェーンは開発者のエクスペリエンスを劇的に簡素化します。
既存の多くのブロックチェーンではスループットが制限されているために、開発者は、ブロックスペースとトランザクションコストを抑えようとして、オンチェーンでの実装を極力削減します。このため、不必要に複雑な技術的アーキテクチャが構築される傾向があります。多くの dApp は一連のオフチェーンのシステムに依存するので、スケーリングするためにはサイドチェーンや Layer 2 にまたがったシステム構築が必要になります。これは開発期間を大幅に増大させ、新たな攻撃経路を開放し、プロトコルの機能と分散性に制限が課せられます。それに対して、Solana の大きなキャパシティがあれば、これまで以上に多くの処理をオンチェーンで行うことができます。
Solana のスマートコントラクトは StackOverflow で四年にわたって最も愛されている言語である Rust で記述されています。Github では、2万4千人のユーザが Rust で書かれたコードをコントリビュートしているのに対して、Solidity のコードをコントリビュートしている開発者は3千5百人しかいません。これは、開発者コミュニティの規模を比較するためのフェアな統計的数字とは言えませんが(なぜなら Solidity の開発者は必ず Ethereum の開発をしているのに対して、Solana 関連の開発をしている Rust 開発者の割合は少ないため)、新たな開発者が開発に着手する際の導入のしやすさを示唆していると言えるでしょう。
戦略的なエコシステムの優位性
Solana は、活発なエコシステムの基盤を構築するために、よく計算されたパートナーシップを結んできました。Solana は分散型金融の重要な構成要素である USDC と USDT をどちらもネイティブにサポートしています(これら両方のアセットをサポートするブロックチェーンは他には Algorand と Ethereum しかありません)。健全なエコシステムのもう一つの鍵は、強力なオンチェーンの流動性です。Jump Trading は Solana ベースの分散型取引所プラットフォームである Serum でマーケットメイクを行う予定です。加えて、Solana は、 Sam Bankman-Fried (Serum と FTX の設立者) および急成長している彼の影響力があるコミュニティと戦略的に連携しています。Solana はエコシステムの多くの主要なチームにとってとても魅力的であることを証明しています。
超高性能な dApp
高性能でスケーラブルなブロックチェーンによってはじめて実現できる、新しいタイプの分散型アプリケーションを作ることには大きな可能性があります。
Defi の人気のユースケースは、ユーザが高い手数料と遅い処理速度でも許容できるほどに価値が高くて、緊急性が低い種類のトランザクションに限られてきました。レンディングプロトコルや自動マーケットメイク (AMM) は比較的処理が遅くても耐えられたために Defi を席巻しました(ただし短期的には Binance Smart Chain が、中央集権化のリスクにもかかわらず、低コストなソリューションに大きな需要があることを証明しました)。高いスループットと低コストを要求するユースケースにおいては中央集権的ソリューションと競うことはできず、既存のブロックチェーンにおいては実装が試みられることすらありませんでした。
Solana のスケーラブルな処理能力があれば、これらのユースケースも実現できます。高頻度取引、セントラルリミットオーダーブック (CLOB)、デリバティブ、クラウドコンピューティングやクラウドストレージなどの分散型プロジェクトが Solana 上で構築され、単一のステートマシンで 10 億以上のユーザアカウントをサポートしました。リテールと高性能な取引の組み合わせは、相互に接続されたエコシステムの効率化を促進するでしょう。
多くの主流のリテールユースケース、たとえばゲームや音楽ストリーミング、コレクターズアイテム、ソーシャルネットワークなどは、他のチェーンでは実現できない形で、Solana 上に構築可能です。将来的に、いずれ Solana が NASDAQ (60 万 TPS) と Visa (10 万 TPS) を合計した分よりも多くのトランザクションを処理できるようになったら、クレジットカード決済から株式取引に至るまでの主要なインフラが Solana 上で展開されるかもしれません。ハードウェアとバンド幅のコストは概ね 2 年で半分に下がっていくので、Solana の性能も同じ割合で向上するはずです。ムーアの法則によれば、Solana のスループットは 2 年ごとに 2 倍になっていきます。
Web 2 企業はブロックチェーンを活用しようと躍起になっていますが、Solana はそうした企業の何百万ものユーザをサポートできるユニークな位置づけにあります。
Solana で構築されているプロジェクト
Audius
Audius はアーティストからリスナーへ直接音楽をストリーミングするプラットフォームで、ロイヤリティの複雑さを解決し、公平なコラボレーションが行えるシームレスなプロセスを構築します。プラットフォームは当初 Ethereum の ERC-20 トークンとしてローンチされたものの、決済レイヤーは Solana で構築することに決定しました。チームは多数の Layer 2 ソリューションやスマートコントラクトプラットフォームを検討しましたが、クラス最高のスケーラビリティーを持つ Solana を採用しました。
“私たちは、十分に高速なファイナリティでトランザクションを処理でき、世界中で利用可能なデータの単一の情報源を必要としていました” — Audius CEO の Roneil Rumburg 氏(Podcast)
現在では Audius は 250 万以上のユーザを擁していますが、トークンを保有しているアドレス数は 6000 ほどなので、大部分のユーザは自らの利用状況がブロックチェーンに記録されていることを認識すらしていないでしょう。今後、メインストリームのユーザ層が、$AUDIO トークンをステークしたり、実装が予定されている NFT 機能を利用するなど、ブロックチェーンの機能に直接的に関わるようになるかどうかを見届けるのは大変興味深いことです。現在のところ、Solana は問題なくシステムをサポートしており、Rumburg 氏はユーザが数億人に達するまでは性能がボトルネックになることはないだろうと述べています。
Maps.me
Maps.me は 9 年ほどサービスを継続している旅行/ナビゲーションツールで、1 億 4 千万人のユーザを抱えています。彼らは既存ユーザに、パッシブな利息収入や効率的な外貨の両替および支払いといった Defi のサービスを提供したいと考えています。これほど多数のユーザに Defi を利用してもらうには、大衆市場に対応できるスケーラビリティーを備えたブロックチェーンが不可欠なので、彼らは Solana を選択しました。私たちが maps.me に投資することに決定した理由についてはこちらの記事(英語)で読むことができます。
Oxygen
Oxygen は担保付きの貸し借りに特化した分散型のプライムブローカレッジです。貸し出しプロトコルはニッチな仮想通貨トレーダーを主な利用者層とする Defi の定番となっていますが、 Oxygen は Maps.me とのダイレクトな統合により数億人のリテールユーザにスケールアップする戦略を持っています。ユーザは自分のポートフォリオで利息収入を得たり、彼らの既存ポジションに対して現金を借りたりすることができるようになるでしょう。性能第一のアプローチで構築された Oxygen はレバレッジ取引やオプションおよびその他の仕組商品のためのプロフェッショナルな機能を備えています。
Serum
Serum は Solana 上に構築された分散型取引所 (DEX) およびデリバティブプラットフォームです。他の多くの DEX と異なり、Serum は最初の完全にオンチェーンのセントラルリミットオーダーブックです。Solana の高い性能のおかげで、Serum は秒未満のトランザクションタイムや安い手数料で中央集権的な取引所をも凌ぐユーザエクスペリエンスを提供しています。
Raydium
Raydium は Solana 上の自動化されたマーケットメイカー (AMM) で Serum のオーダーブックに流動性を提供します。Raydium の Serum との統合により、異なる Dapp に流動性を分散させるのではなく、複合的に提供することができます。AMM は Solana 上でローンチされる新規プロジェクトのための初期流動性を確保するために非常に重要な要素です。
Civic
2017 年代に登場した分散型の本人確認とウォレットのアプリケーションである Civic は、現在は Solana 上にアプリケーションを構築しており、既存の Ethereum ベースのソリューションと統合を予定しています。ここでも例によって低コストやスケーラビリティーが望まれているのですが、Civic チームによれば、それに加えて Solana の性能重視のブロックチェーンは多数のユーザをサポートでき、それが実現した暁には世界の規制当局は(Civic のような)本人確認システムが Defi で利用可能かどうかを確かめようとするでしょう。
リスクと脅威
2020年12月14日に、Solana ネットワークは約 6 時間にわたってダウンしました。このネットワークのフリーズは、リーダーから渡された重複する同一ブロックをうまく扱えないというブロック修復パスの既知の問題によって引き起こされました。この重複は、最近発見された Turbine(ブロック伝達プロトコル)のバグによって正しくフィルタリングされなかったのが原因です。その新しいバグにパッチを当てる部分的な解決策は既に配布され、完全な対策は次のリリースサイクルまでに提供される予定です。このサービス停止は深刻で、「実行」という Solana の大きなリスクを強調しました。Solana が成功するためには、本番環境で十分な安定性を持続できることを実証する必要があるでしょう。Solana は 2021 年半ばに現在のベータ版から正式版にアップグレードされる予定です。
Solana がオンラインに戻ったあとも、さらなる批判を受けました。というのも、2 時間にわたって BTC 以外のアセットでまったく取引が発生しなかったので、Serum 上の取引の大部分が BOT によるもので、それらがオンラインに戻っていなかったことを表していたからです。人間のトレーダーはネットワークの故障の後には警戒していたのかもしれませんし、あるいはネットワークが復旧したことに気がついていなかったのでしょう。いずれにしても、Solana 上で BOT が多く稼働しているという事実は、そのトランザクションコストの低さと高いスループットによって、他のブロックチェーンよりも効率的に BOT が稼働できることを示唆する点において、Solana にとっては良い兆候と言えます。ファイナンスの未来は人間ではなくロボティックでしょう。
長期的なチーム
Solana は、高性能な大規模分散システム開発に深い知見を持つチームによって、当初からスケーラブルなブロックチェーンを目指して構築されています。15 年以上一緒に仕事をしてきたチームによって創設されているという事実は、多くの初期のブロックチェーンチームを分断してきた、ビジョンの乖離という重大なリスクを軽減しています。創設者のうちの二人、Anatoly Yakovenko と Greg Fitzgerald は他の多くの Solana コアチームのメンバーと Qualcomm で Brew に携わっており、そこで彼らはモバイルオペレーティングシステムのマーケットをリードする製品を早い段階で開発しました。彼らは、分散されたシステムが、何百万ものユーザをサポートしつつ、地球規模で通信を行う専門知識を蓄積しました。
Solana に関する統計
データによれば、界隈をリードするスマートコントラクトプラットフォームや Layer 2 ソリューションの中でも、Solana はもっとも優れた性能を有しています。Solana は、シャードやレイヤーによってコンポーザビリティを犠牲にすることなく、より多くのトランザクション処理と最速のファイナリティを低コストで実現しています。技術的な優位性は、もっとも活発な開発陣(13000 以上の Github コミットを行っています)を抱えていることからもうかがえます。ネットワークバリデータの数の観点からいえば、Solana は、Avalanche と Ethereum には及ばないものの、Cosmos, Polkadot, Algorand および Near をすべて合計したよりも多くのノードを有しています。誕生から日が浅い Solana が多くのバリデータを有しているという事実は、Solana のスケーラビリティーに関しては、幅広いネットワークからの参加がネックにならないことを示しています。
Binance Smart Chain
Ethereum のトランザクションコストの高さから、多くのリテールユーザが Binance Smart Chain (BSC) に移行しました。BSC の特徴は、Binance エコシステム(BSC でのローンチと Binance への上場)との連携および EVM 互換性によって支えられています。この領域に参入してくる多くの新たなユーザは、スピードとコストほど分散性を重視していません。BSC は Proof of Authority というコンセンサス手法によって高い性能を実現しており、そのブロックチェーンはたった 21 個の事前に承認された参加者によって検証されています。これは、600 以上のバリデータが参加している Solana に比べて、分散の度合いが非常に低いといえます。
結論
Solana は、分散性とコンポーザビリティを損なわずに、ブロックチェーンの世界における大きなパフォーマンスのギャップを埋めます。Solana に賭けるということは、いつの日か、毎秒何千もの複雑で価値の高いトランザクションをサポートする完全に分散化されたシステムが必要になり、現時点でそのスケーラビリティーとファイナリティをサポートすることができる Solana ブロックチェーンに大きな価値が生じることに賭けるということです。
“Defi が勝利するためには、「分散型である or 速い or 安い or 洗練されている or 革新的 or よく出来ている or ユーザが多い」では足りなくて、これらすべての特性を備えている必要がある。”
— SBF (ツイッターリンク)