Why we invested in Maps.me 日本語訳
本記事は、Sino Global Capital 社の Why we invested in Maps.me という記事を、Sino Global Capital 社の許諾を受けて、日本語訳したものです。翻訳を快く許諾してくださった Sino Global Capital 社に感謝いたします。
なお、本記事で提示するデータおよび考察は、翻訳時に混入した誤りを除き、更新/修正/改良の予定はありません。
本記事は投資助言を意図するものではありません。
イントロダクション
Sino Global Capital は MAPS.ME (https://maps.me/) へ投資していることをご報告します。この投資レポートでは、多くのユーザに利用されている既存のインフラ上に DeFi エコシステムを構築することで、MAPS が DeFi 業界に膨大なトラフィック量をもたらす可能性があることに関して、私たちの考察をシェアしたいと思います。
まず、MAPS.me が近い将来にウォレット機能を導入する際の重要な要素となる観光業とモバイル決済について見てみましょう。
観光業とモバイル決済
COVID 以前は、中国の中流層が世界の国際観光支出に占める割合を高めつつ、観光業全体も着実に拡大していました。
パンデミックが落ち着けば、世界の旅行業は平常通りの状態に若干は戻り、その後、時とともに成長傾向は持続するでしょう。また、モバイル決済も伸びているので、これも FinTech 企業にとっては追い風といえます。
自分の銀行口座と紐付けられた仮想的なクレジットカードやモバイルウォレットを利用した、旅行者にとって便利なモバイル POS での取引ボリュームも増加しています。
DeFi はどのように従来のモバイル決済を変革していくのでしょうか?
DeFi のエコシステムの成長
DeFi のエコシステムは直近一年間で飛躍的に成長しており、提供される製品/プラットフォーム/プロトコルは徐々に進化および成熟してきています。従来の金融業界の常識を覆すために必要なインフラが、私たちの目の前で構築されつつあります。融資、保険、デリバティブ、分散取引所 (DEX) といった様々な分野で、新しい DeFi プロトコルへの関心が大きく高まっています。
この成長を説明するために、独立したユーザ数/預かり資産合計金額 (TVL)/CEX vs DEX の取引ボリュームという三つの重要な成長指標を見てみましょう。
2018 年 1 月の初旬には、DeFi ユーザはたった数百人しか観測されていませんでした。2021 年 1 月まで時を進めると、その数はほぼ 130 万個のユニークアドレスにまで増加しています。一人のユーザが複数のアドレスを作成することは可能ですが、3 年で 6360 倍に増加したという事実は驚異的ですし、明るい話題でもあります。
2018 年 1 月 2 日の TVL は 5052 万ドルでしたが、現時点(2021 年 1 月下旬)では 234.5 億ドルほどあり、46317% と驚異的に成長しています。言い換えると、分散型金融アプリケーションの利用状況や信頼度を表す指標である DeFi の預かり資産金額が、2 年間で 463 倍になったということです。
DeFi 業界が成熟してきてより広いユーザ層に受け入れられていることを示すもう一つの兆候は、Uniswap などの DEX での取引量が大幅に増加していることです。2020 年 9 月には、Uniswap の取引量はおよそ 154 億ドル、DEX 全体の取引量 235 億ドルの 65 % 程度となり、Coinbase を上回りました。2020 年 9 月の Coinbase の推定取引量は 136 億ドルでした。
DeFi プラットフォームが成長して、従来の金融に代わる分散型の取引や TVL が増加しているにも関わらず、スピードやコスト、UX/UI などの点において、改善の余地は大いにあります。従来の FinTech を見てみましょう。
FinTech 市場
DeFi の成長を考える際には、従来の金融を置き換えつつある他の勢力にも目を向けることが大切です。FinTech 企業は金融全体に浸透しており、より効果的で効率的な金融ソリューションを提供するために新しい企業が参入してきています。
FinTech コミュニティは多くの点において DeFi と同じ目標を持っていますが、分散化が DeFi の差別化の大きなポイントです。
FinTech ソリューションの人気と普及は、自分たちのソリューションをメインストリームに押し上げようとしている DeFi プロジェクトにとって有望な例と言えるでしょう。上で述べたとおり、DeFi と FinTech は次のような目標を共有しています:
- 金融商品/サービスへの参入障壁を下げる
- 銀行口座を持たない人たちにバンキングサービスを提供
- 金融商品/サービスの透明性と利用しやすさ
- 従来の金融の代替手段を提供
もし、FinTech ユーザのごく一部でも DeFi に取り込めれば、DeFi へのムーブメントを大きく前進させることができます。
成長する FinTech
FinTech 業界の状況に関するいくつかの数字を見てみることにします:
- 2018 年には全世界で約 30 億人のユーザが、PC/スマートフォン/タブレットなどからリテール向けのバンキングサービスを利用しました。
- リテールユーザは、デジタルデバイスから金融サービスにアクセスすることに既に馴染んでいるため、こうした FinTech ユーザの一部を DeFi に取り込める大きなチャンスがあります。
- また、46% の顧客がパーソナルバンキングをデジタルチャンネルでのみ利用しているという統計結果にも注目するべきでしょう。オンラインプラットフォームのバンキングサービスを進化させることで、実店舗に足を運ぶ必要がなくなります。
- FinTech アプリケーションは、モバイル決済手段の増加により、特に若い世代に人気があります。
- FinTech サービスの認知度は着実に伸びており、EY の調査においては、回答者の 96% が送金と支払いの FinTech ソリューションの存在を認識しています。貯蓄や投資も好評な一方で、保険に対する需要が高いことも注目に値します。
- さらに同レポートでは、2017 年から 2019 年にかけて各カテゴリの認知度が時間的にどう変化したかをまとめており、いずれのカテゴリーでも、認知度の上昇とサービスを利用する可能性の増加が明確になっています。
- これは FinTech がメインストリームのユーザにとって必須のものになっていることを表しています。こうした代替手段があることで、ユーザはより安い決済プラットフォームや、進んだ貯蓄/投資戦略、多様な借り入れの選択肢にアクセスできるようになっています。
これまで説明してきたとおり、金融/FinTech 業界は巨大で、リテールユーザは信頼できる金融の代替手段を求めています。これらのユーザの大部分は、まだブロックチェーンや DeFi を使ったことがありません。しかし、差別化しうる優れた体験と、暗号通貨や DeFi だけが提供しうる機会を示せば、DeFi の利用に切り替える新たなユーザが増加するでしょう。
ここがまさに、MAPS が従来の FinTech ユーザを DeFi に移行させることで貢献できるポイントになります。
MAPS.me
なぜ MAPS は DeFi を普及させるために重要なのでしょうか?
MAPS 2.0 は、DeFi と統合された FinTech モバイルアプリとして、1 億 4 千万人のユーザに金融アクセスを提供します。
9 年間の歴史と熱心なユーザ層を持つこのナビゲーションアプリは、メインストリームの人々が金融と関わる形を根本的に変えることができます。Solana によって支えられた革新的で先進的なウォレットは、リテールユーザが彼らの資金に対して利息を得たり、外貨を交換したり、安全かつ瞬時に送金したりすることを可能にします。MAPS 2.0 はリアルタイムな国際取引を実現するでしょう。
MAPS 2.0 のサービスを詳しく見てみましょう:
- 利息収入 — 利用者は自分の資産を Solana ブロックチェーンの貸し出しプロトコルに乗せることで、8% の利息収入を得ることができます。
- 効率的な外貨交換 — Maps.me のウォレットは 35 の通貨を透明性のある最適なレートで保有/両替することができます。海外旅行の際に外貨交換のために高い手数料を支払う必要はありません。
- 直接的な支払い — お店やホテル、レストランで直接支払いをすることができます。ユーザは、ホテルやレストランのお得情報を入手したり、目に見えない手数料なしで、MAPS ウォレットから商店に直接支払うことが可能になります。
- リアルタイムの送金 — 従来の送金手段の法外な手数料を払うことなく、友人にお金を送金することができます。
- 取引サービス — 将来的に Maps.me ウォレットは、Serum DEX と Solana ブロックチェーンによって実現されたグローバルなマーケットでの取引サービスや投資機会を提供する予定です。
Maps.me のエコシステムは MAPS というユーティリティートークンによって支えられています。発生した純利益の 100% がトークン保有者に還元されます。トークンのバーンの実施に加えて、MAPS はユーザのロイヤリティプログラムとしても機能します。MAPS ユーザは MAPS トークンをステークして、さらなる利回りのメリットを享受できます。
また、企業であれば、MAPS トークンを支払って、検索結果の上位に広告を表示させることも可能です。
そして、MAPS トークンは議決権としての機能も持ち、トークン保有者はガバナンスシステムに参加してエコシステムの発展に関して意見することができます。
2020 年 4 月に実施された 26000 人の Maps.me ユーザを対象とした調査では、次のような結果が得られました:
- 回答者の 47% は、モバイルウォレットとカードの機能が利用できるようになったらそれを使うだろうと思うほどに Maps.me ブランドを信頼しています。
- ユーザは外貨交換の高い手数料を認識しており、回答者の 49% が手数料の安い複数通貨のバーチャルカードを使いたいと思っています。
- 既存ユーザに対する競合製品の脅威は少ないようです。回答者の 80% は、競合である既存 FinTech の Revolut や Transferwise といったサービスをあまり認識していません。
- 現在、ユーザには限られた選択肢しかありません。回答者の 53% は自国の銀行が発行する単一通貨のカードしか持っていません。
- 2020 年 8 月時点では、Maps.me のインストール数は 1 億 4000 万件を超え、日々のアクティブユーザ数は 140 万人、過去 6 ヶ月だけでもユニークなモバイルユーザ数は 2730 万人を数えます。
潜在的なリスク
- バックエンドが Solana ブロックチェーンと Serum DEX に統合されているので、規制に関わる不確実性があります。
- ブロックチェーン導入時に、既存のユーザが投資機会を見逃した場合、DeFi への移行が進まないかもしれません。
- 既存の巨大企業や Revolut, Starling Bank, Robinhood といった新興 FinTech スタートアップとの厳しい競争にさらされる可能性があります。
ビジネスチャンスと将来への展望
Maps.me ウォレットの登場により、ユーザは旅行と金融のニーズをどちらも満たす包括的なアプリケーションを利用できるようになります。Maps.me は現在全世界で 1 億 4 千万人のユーザに利用されており、そのうち 58% がヨーロッパのユーザ、70% が 18 歳から 40 歳までのユーザなので、Maps が FinTech から DeFi への架け橋となる可能性は大いにあります。MAPS チームは、メリルリンチやゴールドマンサックスを含む世界最大級の投資銀行で培った豊富な金融知識と経験を有しており、それに加えて Sam Bankman-Fried と FTX からの資金援助も受けています。私たちは、MAPS が FinTech の巨人として、銀行口座を持つ人と持たない人の両方に、分散型の金融商品とサービスを開放することで、DeFi の成長を後押しできるものと信じています。